盆休みということでAIから少し離れた話題

投稿者:UMEZAWAGEN

当方は自動車が好きで、様々なクルマに乗ってきました。
20代半ば、仕事がヒマになったタイミングで免許を取得。当初は特に自分のクルマは所有せず、友人のものを借りて出かけたりしていました。
山登りなどに向かうための移動手段でしたが、いつしか手段が目的に変化、ドライブ自体が目的になりました。色々あってスポーツカーに乗ってみたり、機械いじりにハマってジムニーをカスタムし、その運転を楽しんでいました。

そんな自分が結婚して東京・富山との二拠点生活を始め、パートナーにも運転してもらう機会が増え、「いかに便利に疲れず移動するか?」というテーマが持ち上がったのが、10年ほど前。
当時乗っていたAudi TTSはとても刺激的なクルマでしたが、運転支援機能などはなく、長距離の移動はいささか疲れる・・一方で、ジムニーは新幹線で富山に行った際、現地での足として富山に置いて運用。

そんな時期、運転支援機能を搭載したクルマが増え、テスラがすごい・・とかスバルのアイサイトがなかなかだ・・とか数多くの情報が飛び交っており、何台か試乗して決めたのがボルボのXC40でした。

導入の決め手は、その快適さと疲れにくさ。
どうせすぐ買い替えるだろうと思っていたのですが、食指が動く一台にも出会えず、気づけば7年も乗っていました。
運転支援機能は今でこそ当たり前になりましたが、その時点でのボルボはとても優秀で、全車速対応のクルーズコントロールも、レーンキープも比較的不安なく動作するクルマでした。

7年前に購入

テクノロジーの理想形

AIのコラムらしい話題に戻しましょう。
私は、テクノロジーの理想のひとつは、日常に溶け込み、存在を意識させないことだと考えています。
例えば、手動で操縦するのが難しかったラジコンのヘリコプターも、今ならGPSとジャイロ、ビジョンセンサーの支援によって、5歳児でもホバリングが可能なレベルです。(当然機種にもよります)

以前の機体は調整にもひと手間・・趣味の世界
技術進化で5歳児でもホバリングが可能なレベルに


「できない」ことが「できる」ようになる瞬間

ラジコンをうまく操縦できない、カメラを安定させる仕組みがない、撮れ高を目視確認できない。
こうした課題を一気に解決したのがドローンです。

2010年にリリースされたパロット社のAR.Droneは、スマートフォンで操縦が可能、手を離してもホバリング(空中での静止=ラジコンヘリコプターでは大道芸の皿回しに例えられるほど難しい)ができる。さらに機体カメラの映像を手元で見られるなど、それまでにない画期的な製品でした。
とはいえ、カメラ画質はまだ十分とは言えず、そもそもスマートフォンでの操作には別のスキルが必要でした。(それでも、AI談義のメンバーの中では、購入者も少なくなかったと聞きます)
その後、2013年にDJIからリリースされたPhantom2は衝撃的でした。ラジコンの知識がそこそこでも、比較的容易に空撮を楽しむことができました。

DJI Phantom2


手段と目的は入れ替わる

精密な飛行制御とブレを抑えるジンバル、高画質な映像を遠距離に遅延なく送信できる技術。これらが融合した結果、好事家の趣味だったラジコン空撮は、ドローンによる空撮システムに進化し、その目的も「飛ばすこと」から「撮影すること」がメインに変わっていきました。
今では、ラジコンの知識よりも、撮影技術や法規制への対応が重要になっています。
その後のDJIの躍進については、もはや説明するまでもありません。

ドメイン知識は大切

近頃、テック業界では「ドメイン知識」という言葉が使われます。
特定の専門分野や業界における、業務手順、専門用語、商習慣など、その領域ならではの深い知識のことです。

先の例で挙げたドローンも、ラジコンヘリコプターで培われた知識や経験が不要になったわけではありません。
センサーやソフトウェアのアシストがあったとしても、機体そのもの(物理的な物体)が重力に逆らって空中に浮かぶわけですから、気象条件や電波状況、機体状態の把握、安全管理、飛行後のメンテナンスなどには、従来のラジコンの知識が欠かせません。

これはAIに関しても同様です。AI談義では、こうした技術の発展による革新とドメイン知識の融合について、たびたび議論されます。

Human-in-the-Loop

AIの分野では、HITL=ヒューマンインザループという言葉があります。
これは、AIや自動化システムの処理・学習のプロセスに人間が介入し、確認や修正、意思決定を行う仕組みです。AIの効率性と人間の判断力を組み合わせることで、より高い精度と安全性を確立します。弊社がシステムを設計する際にも必ず盛り込む重要な要素です。

閑話休題・・

ボルボの運転支援機能は、さりげないシステムの介入と人間主体の運転という、今どきのAIと人間の関係性にも通じるものがあるなと感じました。
自動車もドローン同様に物理機械のため、メンテナンスが必要です。
7年経った今でも快調ですが、今後の維持にかかる負担の増大を考えると、そろそろ買い替え時なのかもしれません・・

元々は走りを楽しむために乗っていたクルマでしたが、今では快適な移動手段として利用しています。そう考えると、クルマは愛着を持ってメンテナンスを続ける道具である必要はない・・そう気づき、心境の変化に自分でも驚きました。

ただ、国内の自動車分野では想像していたほど運転支援機能の普及は進んでおらず、タクシーなどへの導入も、まだ公道実験止まりです。
他メーカーの動向も定期的にウォッチしていますが、そのあたりは自動車専門誌に任せるとして、今は「慣れ」というドメイン知識を活かせる同じ車種を買うのか・・?と、熱量低く考える8月です。

改めて開いた電子カタログ。「Snapdragon(スマートフォン向けのCPU)搭載」と謳われても・・全く心が躍りません。けれど「480馬力」とか書いてあったらワクワクしてしまうのは、結局のところ、自分がまだ手段と目的の入れ替えができていない証拠なのかも知れません。

さて・・どうなることやら?