【自己紹介】どのようにして建築士だった私がAIをやることになったのか


型にとらわれず、「できる?」に答え続ける、テクノロジーエバンジェリスト、内野清孝です。
今回は私の簡単な自己紹介をさせていただければと思います。自分でも振り返ったことが無かった自分史です。
今現在のベクターデザインさんとの関係については、先日インタビューしていただきましたので、こちらをご覧ください。
一級建築士、捨てました
大学で建築を学び、卒業旅行でロンドン・エディンバラ・リバプール(ここは外せない)を巡ってから、建設会社(いわゆるゼネコン)で構造設計の仕事をしていた。3年かけてようやく一級建築士も取った。普通ならここで「これからが本番」となるはずだが、取得翌年に会社を辞めた。
理由は「Macを使う仕事がしたかった」。ただそれだけだ。退職金に目が眩んだ……わけではない。たぶん。一級建築士、捨てました。
ニートの期間はデザインスクールに行ったり、ロンドンに1週間ほど滞在したりして結構自由に過ごしてたが、いよいよ退職金が底をついたので、制作プロダクションに転がり込んだ。最初はグラフィックの見習いのつもりだったが、ある日こう言われた。
「イベントの仕事、お願いできる?建築やってたから図面描けるでしょ?」
建築の図面とイベントの会場図面は、正直別物だ。でも「まあ描けます」と答えてしまった。これが今も続くイベントの仕事の始まりである。その後も「動画は?」「ウェブは?」と次々と声がかかり、気づいたらなんでもやるフリーランスになっていた。
断れない性格なのか、縁と流れに素直なのか。おそらく両方だ。
「先取りしすぎる男」と「飽きるのも早い男」
自分にはちょっと困った法則がある。面白いと思って始めたものが、数年後に世間でも流行り出す。
2013年にParrotのAR Droneを買い、翌年にはDJIのPhantomで空撮を始めた。同じ年にLYTROのライトフィールドカメラを買い、KodakのSP360で360度撮影も始め、ドローンに360度カメラをつけて空撮する実験まで始めた。当時の自分を一言で言うと「かなり怪しい人」だったと思う。
その後、ドローンも360度カメラも世の中に普及していった。めでたい。
ただ、その頃には熱が冷めていた。
「早すぎた」の後に「飽きるのも早い」がセットでついてくるのが、私のもう一つの法則だ。
今もドローンや360度カメラは仕事で使うが、趣味で飛ばしたり撮ったりする情熱はすっかりない。
新しいものへの興味は、展示会通いにも出る。2019年と2023年にはラスベガスで開催される世界最大の家電見本市・CESに自費で参加した。2024年にはプロ用放送機器の展示会NAB Showにも足を運んだ。次はSXSWが気になっている。お金の使い方に一貫性がある、と自分では思っている。
ちなみに2015年、360度カメラだけを持ってアメリカを1週間撮り歩いた旅では、道中のバスで知り合った人に連れられてAppleのキャンパスを見学したことがある。Appleが好きすぎて、その話をしていたら気づいたらキャンパスにいた。Appleが好きで縁を呼び込んでいた節は確かにある。
VIVE Mars、日本に7セット
2022年、バーチャルプロダクションという技術に出会った。LEDウォールと3D映像を組み合わせてスタジオ内で映画を撮る技術で、ハリウッドでは当たり前になりつつある。調べれば調べるほど面白い。やりたい。
ただし機材費は数千万円から。無理だ。
……と思ったが、VIVEトラッカーを使って低コストで近いことができる方法を発見。そこにHTCがVIVE Marsという業務用トラッキングシステムを発売するという情報が入った。これは買うしかない。
が、北米限定販売だった。
半年ほど悶々としたあと、メーカーに直接メールを送った。「日本で買いたいんですが、どこで買えますか」と。普通こういうメールへの返信は期待しないが、返ってきた。国内の輸入代理店を教えてもらえた。
2023年3月、念願のVIVE Marsを入手。後から聞いた話では、そのロットで日本に入ったのは7セットだけだったという。ちなみに価格は数千万円の本格機材に比べれば格安だが、個人が出す金額としては普通に痛い。これを覚悟と呼ぶのかどうかは今も少し迷っている。

AIには素人でした
以前からの縁でK-リレーションズの小林さんからベクターデザインを紹介してもらい、AIのプロジェクトに関わることになった。
ここで正直に言う。当時の私、AIをほとんど使ったことがなかった。
それでもやってみると、AIが調べ物もプログラムもどんどんこなしてくれる。自分は確認して次の指示を出すだけでいい。「無理だ」と思っていたプログラミングまで気づけばできるようになった。素人でも入れた。
ただ、痛い目も見た。360度映像からガウシアンスプラッティングを作る作業で、AIへの指示が「最新の方法でやってみて」だけだったら、結果はイマイチだった。自分で調べて見つけた方法を「これはどうか」と別のAIに投げてみると「こちらの方が精度が高いですね」と返ってきた。
つまり自分の調査をサボっていた。AIのせいではない。
バーチャルプロダクションなどニッチな分野では、AIがまだ十分に学習していないことも多い。ドローンも360度カメラもAIも、自分にとってはただのツールだ。それ自体が目的になると途端におかしくなる。何をしたいかは、結局自分が持っていないといけない。
最近の興味は趣味と実益を兼ねてのAI動画制作。キャラクター、音楽も作成してみました。
縁と流れに乗ること
振り返ると、イベントも動画もウェブもAIも、全部「なぜかやることになった」ものだ。計画的に習得したものは一つもない。求められたから、面白そうだから、それだけで始めた。
型にとらわれないとは、要するに、断らないということかもしれない。
これからも「できる?」に答え続けるつもりだ。縁と流れが続く限り。






